欧州家畜協会:European Livestock Association (ELA) // ELA letter // 口蹄疫


2010年6月7日

農水省家畜衛生課長 川島俊郎 様 
CC: Dr. Bernard Vallat, OIE(国際獣医局)
John Dalli, EU Commisioner Health and Consumer Policy(欧州消費・安全委員会委員)
Members of European Parliament(欧州議会議員)

2010年の日本における口蹄疫について

 欧州家畜協会(ELA)は、自然循環的に永続する畜産を目指しています。協会メンバーには口蹄疫(FMD)の専門家としてよく知られた科学者たちもいます。
 日本で実施されている口蹄疫対策に関連して、ELAメンバーは以下のことを緊急に提言したいと思います。

  ・ FMDがワクチンで根絶できないという日本当局の声明は正しくありません。
  ・ 英国やオランダが2001年に失敗した口蹄疫対策の方法を日本が繰り返し、畜産業や地域社会に同じ様な経済的、社会的な被害を与えているとしたら極めて不幸なことです。

 日本当局の主要な目的は、伝染病を制御可能な管理下に置いて、感染の拡大を阻止し、できるだけ速く口蹄疫清浄化を果たすことです。
 ヨーロッパ家畜協会(ELA)は次のQ&Aを日本当局が参考にされて、注意深い考慮を払われるよう強く助言致します。

上記の目的は達成できるか?

 答: 摘発・淘汰と殺処分を前提にしたワクチン接種(stamping out/vaccinate-to-kill)によって達成できる。(訳者注:今回、日本が実施した方法)

 そうですね、ただし−英国のように−感染する宿主(動物)がもはやいなくなったときに、それは単に成功したと言えるのでしょうが。
 この政策の問題点は以下の通りです:
− ウイルスを「殺し」て感染拡大を阻止するために、殺処分する動物がかなりの数になる
− 社会的、経済学的かつ様々な影響
− かなりの数の殺処分により引き起こされる人間と動物の福祉問題
− 殺処分に追われて正確な診断ができなくなる
− バイオセキュリティを維持することができなくなる(獣医、殺処分チームの不足や、時には非協力的で、集団の方針に従わない畜主や業者もいるでしょう)
− 貴重な遺伝的系統などの損失。
− 完全に食の安全な家畜を処分することを受け入れる倫理的問題。

 より効果的な代替案があるか?

 はい。ワクチン接種の考え方を、「殺処分を前提にしたワクチン接種」から「生かすためのワクチン接種(vaccination to live)」に置き換え、次に示す方法を組み合わせることです。
− 新しい診断検査を使って、可能な限り速く感染経路を追求することです。この検査は潜伏期/臨床症状が出る前に迅速に感染を確認でき、ほぼ即座に感染を保証できます。
− 感染畜(健康畜でなく)を速やかに殺処分すること。
− リングワクチンの利用(未感染地域から、感染が確認された地域に向かって)
− 例え潜伏期の家畜や感染畜に不注意にワクチン接種をしても、ウイルスの排出量は減少するでしょう。そのことがワクチン接種の明らかな利点です。
− 農場のバイオセキュリティの維持と家畜の移動禁止。

これらのことを考慮して、私たちは以下の助言をしたいと思います。
− ワクチン接種の範囲は一般的に想定した緊急時の計画に基づくのではなく、発生の状況によって判断すべきです。例えば、口蹄疫の初発が確認できなかった場合の多発発生(2001年英国の例)と、これに対して素早く確認できた単一発生(2007年英国の例)の場合がありますが、前者の場合はリングワクチンは広くしなければなりませんが、後者では比較的小さい範囲にすることができます。
− 現代の精製された効力の高い緊急ワクチンを使うこと。これは非常に効力があり数日で防御免疫を与えます。
− ワクチン接種後は、ワクチン接種農場の血清学的スクリーニングを適切な検査(*訳者注:PCR検査またはNSP抗体検査)で実施し、ワクチン接種畜から感染畜を識別すること。

 私たちは地域社会と地域を支える家畜の幸福のために、21世紀に発達した科学のツールにふさわしい、家畜衛生管理のより良い方法の確立に貢献していきたいと思います。

 口蹄疫の発生を速やかに制御するために、すべての点で成功されるように日本当局にお願いします。

敬具

Peter King, Chair
and the ELA scientists and FMD experts
Prof Sheila Crispin
Dr Paul Sutmoller
Dr Simon Barteling
Dr Ruth Watkins
and co-signing
Dr. Colin G Fink
 Clinical Virologist &
 Hon. Senior Lecturer in Biological Sciences University of Warwick
Dr.Raúl Casas-Olascoaga
 - President Nat. Academy of Veterinary Sciences, Uruguay
 - Professor Eméritus - Former Director of the Pan American Foot and Mouth Disease Center/PHO/WHO